反対クリミナル

ゆっくり小説書いていきたいなと思います~

反対クリミナル 13

翌日、朝7時30分。今まで四人だったメンバーが五人に増え、共に歩を進める。 その中で真紘は一際嬉しそうに笑っていた。 「そう言えば俺ってヤマトに加護貰えたんですよ!遂に仲間入りですよー!」 涙を流しそうになるほど嬉しそうにそう言う真紘。 「いやい…

反対クリミナル 12

夜の空気は冷たく変わる。弱い風に彼女の桃色の髪と、スカートがひらひら揺れていた。 「さっきは、あんなこと言ってごめんなさい…。」 照れるように、小さくそう言った。或斗はその言葉を笑って聞く。疾風は相変わらず表情一つ変えずに居たが。 「あの、仲…

反対クリミナル 11

「ふーん…よかったじゃん、セナのやつ。」 ハヤテはマンションの屋上から様子を見ていた。 彼を止める罠は勿論あったが誰かが待ち伏せという訳ではなく、ただの落とし穴だったのだ。他者を始末することに関しては一流のハヤテを止める手段にそんなくだらない…

反対クリミナル 10

セナは太陽を見つめながらぼんやりと、昔のことを思い出していた。 自分の左側の髪に巻きつけられた赤いリボン。元はアルトの母親であるメドゥーサに貰ったものだった。ハヤテとアルトと友達…なんて関係になって、でも太陽が苦手であまり会うことができない…

反対クリミナル 9

疾風と星那は何をするわけでもなく、変わらず客間でくつろいでいた。 「ねえ疾風、ちょっと嫌な予感がする。」 星那は何を見るわけでもなくまっすぐ前を向いてそう言った。それに疾風は閉じていた目を片方だけ開いて「なにが?」と、話を続けるよう促す。 「…

反対クリミナル 8

「反対!」 或斗がその言葉を叫ぶとその姿は髪の長い、《魔眼のアルト》へと変わる。その右手には彼の武器であるロッドが握られている。 「あと2分…、敵はどこ?」 真っ赤な瞳で、周りを見渡す。 見えたのは誰かが結奈華を刺す未来。きっとこの辺りの誰かが…

反対クリミナル 7

「ええー!?呼んじゃったんですか!女の子!!」 「何でボクの家なの。」 日が沈んで、物好きは部活を行う時間。今日も朝と同様、4人で星那の家に集まっていた。 集まって駄弁るためだけの客間に今日は本当に客が来るのだから少しだけ違和感を持った。焦るの…

反対クリミナル 6

学校にて、昼休み。 給食制なので隣同士疾風と或斗は落ち着かない顔をしていた。 「まさかあの馬鹿がな…意外。」 「僕だって信じられない…それを言えば星那だって一瞬で認めるのに…。」 前の席の女子は当然人間な訳なのでばれるわけにはいかずコソコソと顔を…

反対クリミナル 5

「よっしゃー!今日も行きますかー学校。」 疾風が背伸びをしていつも通りの道を歩く。 中学までの道のりに小学校があるため、そこで小学4年生の星那を置いていき、中2の疾風と或斗、中3の真紘が中学まで行く。高校は緊急時に仮病して駆けつける程度。中高生…

反対クリミナル 4

「お邪魔しまーす」 現在7:20。この時期だとやっと日が出てきて明るくなった頃だ。 見るからに豪華な家に住む星那と真紘はこの時刻ならとっくに起きて学校に行っているかも分からない時間だ。 「どちら様です…って疾風様に或斗様!昨晩はお疲れ様でした。お…

反対クリミナル 3

深夜は特に事件もなかったようだ。深夜に襲撃があるのは結構珍しい。時々あると深夜の当番はセナとマヒロだから大事だと叩き起こされて大変なことになる。 でもインターネットにも大したことは載ってないし大丈夫そうだ。 「…んんー…、起きて疾風ー…。」 今…

反対クリミナル 2

「セナ様、こんな時間まで寝ておられるのですか?もうそろそろ2時ですよ…。」 扉越しにセナと呼ばれた少年が少しだけ怒りを含んだ声で言い返す。 「ちょっとマヒロ、寝坊したのは君でしょ。ボクは12時には起きてたさ。」 部屋の中で眠ってもいないセナは紅茶…

反対クリミナル 1

「ハヤテ?今暇でしょう。」 今日は月夜、満月、冬の夜。 明るく発光するような黄緑色、長く伸びていて一つに纏められている。 真っ赤な目に、映るハンタイ世界。 「ああ、超暇。なんか見えたか、アルト。」 月光の下、屋根の上、黒猫と共に。 茶色の髪が角…